監査に備えて文書の変更履歴や教育記録、品質イベントの対応状況を確認する際、必要な記録は残っていても、関連する記録の探索や対応経緯の確認に時間がかかっていないでしょうか。
重要なのは記録の有無だけではなく、「どの変更に対して、誰が何を実施し、どの根拠で完了と判断したか」をたどれることです。
本記事では、文書改訂・教育と、逸脱・苦情・CAPAなどの品質イベントとのつながりに着目し、品質管理の運用を点検する方法を紹介します。
| 文書管理・教育管理・品質イベント管理をつなぐ運用について、MasterControl™ eQMSソリューションの更新版製品案内でご紹介しています。 ▼ 更新版の製品案内をダウンロードする |
記録がそろっていても、経緯を説明できるとは限らない
運用を点検する際は、記録の有無だけでなく、関連する記録をたどれるかを確認します。例えば、文書の改訂履歴と教育の実施記録がそれぞれあっても、どの改訂に対応した教育なのかを確認できなければ、追加の照合が必要になります。
紙やExcelを用いた管理では、保管場所や管理台帳が分かれていることで、関連する記録の確認や担当者間の引き継ぎに手間がかかる場合があります。そのため、記録が適切に関連づけられているか、必要な情報が確実に引き継がれているかを確認します。
電子化している場合も、別の台帳への転記やメールでの確認が残っている箇所は点検の対象になります。システムの導入有無だけで判断せず、記録から判断と対応の流れを説明できるかに目を向けます。
文書改訂から教育までの流れをたどる
文書と教育のつながりは、最近改訂した標準作業手順書(SOP)を一件選ぶと、具体的に確認できます。改訂理由、承認、施行日から、教育の要否判断、対象者、実施記録までを順に確認します。
- 改訂の影響:どの業務や担当者に影響する変更かを確認できますか。
- 教育の判断:教育が必要か、誰を対象とするかを、誰が判断しましたか。
- 実施の確認:対象の文書と版に対応する教育記録を確認できますか。
- 運用への反映:施行時期と必要な教育の完了を、業務に応じて管理していますか。
教育の内容や業務上のリスクに応じて、受講完了の記録だけでなく、理解度や実施能力をどのように確認するかも整理します。
記録を探す途中で問い合わせが必要になった場合は、その箇所と理由を残します。これにより、文書番号や版の記載、教育対象者の選定ルール、未完了者の確認方法など、改善すべき事項を具体化できます。
CAPAは、措置の実施と有効性確認を分けて見る
是正措置・予防措置(CAPA)の点検では、措置を実施したことと、その有効性を確認したことを分けて考えます。逸脱や苦情の調査結果を踏まえてCAPAの要否を判断し、必要な場合には措置の実施から有効性確認までの流れを追います。
- 判断の根拠:調査結果と、CAPAの要否を判断した理由を確認できますか。
- 進捗の把握:未完了の対応、担当者、期限が分かりますか。
- 関連業務:必要な文書改訂や教育に引き継がれていますか。
- 有効性確認:何を、いつ、どの基準で確認するかを定めていますか。
例えば、再発防止のために手順を改訂し教育を実施した場合、教育完了の記録だけで改善の効果まで判断できるとは限りません。問題の性質に応じ、一定期間の発生状況や作業の実施状況など、適切な確認方法を定めます。
未完了の品質イベントやCAPAは「対応中」とまとめるだけでなく、調査待ち、承認待ち、有効性確認待ちなど、次に必要な作業が分かるように整理すると、関係者間で状況を共有しやすくなります。
集め直した記録を、次の運用改善に使う
監査準備で生じた探索や照合の作業は、運用改善のヒントになります。単に準備を終えるだけでなく、「何を探したか」「なぜ見つけにくかったか」「誰への確認が必要だったか」を整理します。
例えば、関連記録の番号が記載されていないなら、記録様式や入力ルールを見直します。完了条件が曖昧なら、判断基準と承認の役割を整理します。同じ情報を繰り返し転記しているなら、管理元の明確化や連携方法を検討します。
改善の優先順位は、品質や規制対応への影響と、作業の頻度・負荷を踏まえて決めます。改善後は、記録確認に要する時間や問い合わせ件数などの指標で効果を確認します。
電子化の前も後も、業務のつながりを点検する
電子化を検討している場合は、文書・教育・品質イベントをどこまで関連づけて管理するかを要件として整理します。導入済みの場合は、現行システムの設定や機能、運用・引き継ぎルールを確認し、改善できる箇所を検討します。
一つの案件を題材に点検することで、現在の運用上の課題を具体的に把握できます。ここで紹介した項目を参考にしながら、必要な監査・点検の範囲や確認内容を、自社の製品・業務・適用要件に合わせて整理していくことが大切です。
記録を残すだけでなく、必要なときに判断や対応の経緯を迅速に確認できる状態を維持することが重要です。この視点で業務のつながりを点検することが、日常の確認作業を効率化し、監査準備の負荷を軽減する手がかりになります。
QMSの導入・運用を見直す際の参考に
MasterControl™ eQMSソリューションの製品案内を更新しました。文書管理・教育管理・品質イベント管理をどのように連携できるかに加え、導入支援の内容をご紹介しています。QMSの導入検討や現在の運用を見直す際に、ぜひご活用ください。
▼ 更新版の製品案内をダウンロードする
富士フイルムPBC株式会社は、マスターコントロール株式会社のオフィシャルパートナーです。ライフサイエンス関連業界をはじめとする多くのお客様への支援を通じて培った豊富な経験と実績をもとに、厳しい規制環境下にある企業様のQMS導入・運用をご支援します。ぜひお気軽にお問い合わせください。
